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2021年5月7日金曜日

鬼退治

 鬼退治に、いざ出陣です。

皆さんのおかげでここまでスムーズに来れました。医療スタッフの皆さんは本当に素晴らしい。昨晩もよく眠れました。
そしてあとは柱に命を託して信じるのみ。
ドクターという職業は偉大だ。
バスっと鬼のクビ、やっちゃって下さい。

2021年5月6日木曜日

Good Luck!

 ヤクザ映画が似合いそうなシワがれ声で「シャチョさんよぉ」と僕を呼ぶ、ルームメイトの親父さんは、僕がシャワーから帰ってきたらベッドごと空っぽになってた。リハビリ病院へ転院したんだ。

ここに来て最初に知り合った人との別れはあっけなかった。ベッドの形に埃がないのが、ここでの生活の長さを無言に語る。
「あんたから生きる糧をもらった。俺より大変なのになぁ、ありがとう」と歯磨きしてる背中から言われた。振り向くと照れ臭そうにそっぽを向いた。ーーこちらこそ。リハビリ、頑張る姿に元気もらいました。ありがとうございます。
僕はこの病気になってから「ありがとう」の言葉に自然に気持ちが乗っかってる感覚がある。それだけは良かったと今は思う。
「グッドラック!」と親指立てて言い合ったのが最後の言葉だった。

「十中八九」が突き刺さる

 ーー家族旅行中だった。

僕はトイレに席を立った。デッキは行列。駅に着くところらしい。トイレには先客有り。止まった駅のホームにトイレのマークが見えた。
新幹線はこの駅で十中八九、長く停車する。
…はずだった。
僕がようをたすころにベルが鳴り響いた。ヤバッ!間に合うか?!ベルが止まらないよう願いながら新幹線に駆け寄った。身体が無理なら腕一本だけでも閉まる扉の向こうに挟み込もう!
この新幹線の名前が『人生』であることはうすうす気づいてた。
この駅に取り残されるわけにいかない!さっき降りていった人たちはもういない。家族の元へ帰らなきゃ!
ーーここで気が付いた。
生活感のない天井。足元が薄明るい。カーテンの敷居。ドアに挟み込もうと思った腕には点滴。
"あぁ、寝てたんだ。僕は起きたんだ"
「この新幹線は十中八九、長く停車する」はずだった、
が突き刺さる。
こうして夢を「投稿する」に変換することが、自分を主観の底に落とさずに留めてくれてる。

2021年5月5日水曜日

同室の先輩に学んだこと

同じ病室の80代おじいさん。明日転院らしい。

病院生活が長いのか「代わり映えない天井見る時、しんどくなる」とコボした。「病院変わるの、気分転換になるじゃないですか」と言うと、「どうかねぇ」。エアコンが作動し始めて何もなかったかのように打ち消した。
昼さがり。
僕が共有スペースで仕事してると、今度は元気そうに話しかけてきた。「打ち合わせかい?」「ええ。でも機材の調子悪くて声聞こえてないんです。点滴の針でタイピングもおぼつきません」と言うと、嬉しそうな顔をされた。「あんたくらいの息子がいるんだ」と。
T字カミソリとスリッパの病室への持ち込み禁止には裏技があることを教わった。ルールには抜け道ってものがあるんだ、と。
今この時間もその方は歩行訓練をされてる。目線で廊下の向こう側をしっかり捉えて僕の視線に気づかない。

上げ膳据え膳

 入院生活は、移動範囲が1フロアの半分ほどに限定されてますが、今のところ何不自由なく、というかむしろ快適です。まさに「上げ膳据え膳」です。皆さんに本当に良くしてもらってます。

あ、でもお膳(食事)はさっきのを最後に1週間ほど断食(点滴)に入ります。今後は、周りの人たちの食事タイムに差し入れてもらったガムでしのぎます。

昼間の共有スペースは仕事に向かない

 病院の共有スペースでパソコン開けると、他の患者さんから「お兄さん」とか「あんちゃん」と話しかけられます。”今から仕事!”というオーラがここまで効かないのは、初めてです。

まだ2日目だけど、患者の中で僕が多分、最年少かな。皆さん、似たような寝間着だし、マスクしてるし、短い白髪だしってんで、正直、顔を覚えられないんですが、リハビリ頑張っててとてもいい雰囲気です。
リハビリ頑張る社交的な方が共有スペースに集まっている、とも言えそうです。町の図書館の自習室に勉強好きが集まるような感じですね。
しっかし、昼間の共有スペースは、仕事には向きません(笑)。

2021年5月2日日曜日

ただいま闘病中。ーー鬼退治してきます

 最近休みがちで恐縮です。僕自身、6日前に知って混乱してますが、大腸がんと腸閉塞の合併症と闘ってたみたいです。病床が空いてる今がチャンス、とばかりに4日から入院です。

「がん」の中には、普通の鬼と下弦の鬼、上弦の鬼みたいな種類があって、僕のは「低分化型腺がん」という上弦の鬼らしく、一刻も早くその首を切り落とさなきゃ、という話です。
お腹に巣食う泥団子みたいに重たい塊を全部取り切ってくれるんだから「せいせいするわ!」ってなもんなのですが、大腸と小腸を切るのでつながるまで数週間お休み頂くことになりそうです。
今のところ、ステージⅡ以上は確定で、あとは実際取ってからⅢかⅣかが確定する。Ⅲなら生存率77%で、Ⅳなら1年以内の死亡率が76%に跳ね上がる。5年生存率は10%を切るそうな。
執行猶予か、死刑かの判決を待つ重罪犯の気分になることもありますが、家族と仲間と本音で向き合える時間に満たされた毎日を送ってます。
我が家のトイレに「直近1年で実現させたい目標」を思い思いに貼ってるのですが、次女が書いてくれたこのお願い事をスマホの待ち受けにして入院生活に入ります。