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2017年12月28日木曜日

インターネットはソラリスの海になっていく?

ハヤカワ文庫「ソラリス」がSaleだったんで年末読もうと買ったら、NHK「100分de名著」でも始まったので合わせて考えてみた。 海っぽい流体に覆われた惑星ソラリスと宇宙船の物語。 その海は意識があるのかもしれないし、法則に沿っているだけかもしれない。 でもその海は確実に宇宙船メンバーの脳に入り込んで情報を引き出すだけでなく、彼らの記憶から生み出した幽体を宇宙船に送り込んでくる。 そしてその目的は最後までよくわからないのである。解明には程遠い規模の存在ということなんだろう。 長年の観察、研究で「ソラリス学」なる概念が膨れ上がるも、その実態はよくわからないまま。 概念が大きくなるほどに全体像は地平に追いやられ、人の認知が局所に限られるためにいろんな見方ができるようになるばかり。 ソラリスの海は、まるで「未来のインターネット」だと思った。 脳と直接つながった未来のインターネット。 ソラリスの海が宇宙船に送り込んでくる幽体は、さしずめ「カスタマイズされた人工知能(その人から最も情報を引き出すインターフェース)」ということになるかもしれない。 僕はインターネットとの類似性をみたけど、人によって宗教であったり、人間の内面であったり、さまざまな「フィクション」をソラリスの海に投影できるんだろう。 今年読んで衝撃を受けた「サピエンス全史」では、宗教も科学も資本主義も社会主義もすべて「認知を獲得したサピエンスが生み出した虚構(フィクション)」と結論づけている。 人に幸福や自由をもたらしたり、束縛も絶望もしたりするこれらの虚構に力を与えているのが言語などの記号とした場合、それらを自分にカスタマイズされたインターフェース(資本主義の文脈ではおカネかもしれないし、政治であれば総理大臣あるいは預言者かもしれない。その人にとっての希望となるVision、Big Pictureをその先に想像できる何か)が、ソラリスの物語で描かれるような幽体となって姿を現し、パーソナルな領域でそれと引きこもるように最適化されていく未来を想像してしまった。