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2019年10月1日火曜日

回収作業中に時間が止まった

回収業者が、小さなトラックにタンスや鏡台やらをバッキバッキに潰してペシャンコにしてぶん投げてるのを眺めてた。
ーー誰か亡くなったのかなぁ
机の足が全部折られてトラックの奥に投げつけられた瞬間、
こめかみにつめたい何かが染み込んできた。
ーーオルゴールが、鳴っている。
さっきの机の引き出しに入っていたのかもしれない。
何の曲かまで聞き取れなかったけど、線香花火のように今にも消えそうなオルゴールの音色は儚く悲しい。
かつての持ち主はこの音色をどんな思いで聞いたんだろう?
手に入れた日は、その人にとってどんな日だったんだろう?
回収業者の手がしばらく止まった。