このブログを検索

2011年3月30日水曜日

「パンドラの箱」を開くと、最後に「希望」が残ったという。僕はこれからその意味を知ることになるだろう

「おはよう」の挨拶より前にしていることがある。
①原発事故の最新情報をチェック
<手順>
iPhoneでtwitterを開き、「政府・関連省庁、NHK等の報道機関、これらの情報をキャッチして本音をつぶやく原発の専門家たち、さらにこれらを一般レベルまで咀嚼・加工する識者をまとめた「Genpastu Crisis」リストで全体像をザックリ掴む。
②今日の停電予定のチェック
<手順>
iPhoneで「計画停電」アプリで把握する。


震災以後、日常を継続するための必要条件、つまり「今日も東京で働いていて安全か?」を確認するためのインプットに多大な労力・時間・神経を使っていたので、ブログ更新等のアウトプットの余裕がありませんでした。
一日も早く、枝野官房長官が特に言うコトがなくなるような日常が戻ってくることを願っています。

以下は、震災以後の「冷静と混乱のあいだ」を行き来した僕の履歴です。個人的な覚え書きとして残します。

■12日深夜
福島原発の原子力プラントの設計者らによる解説で、格納容器全体に海水を満たすのは前代未聞の行為であり、うまくいく保証はないが日本国民全員で成功を祈るほかないと語る記者会見を聞いて(概要こちら
祈りながら穏やかな心を保ちたい。
家族で一緒に居られる幸せな今夜は眠ろう。
また明日も幸せな一日が来ることを知っているんだから。

■14日
会社を休みにした。再開の見通しは立ってない。
社員とその家族の安全な場所確保を最優先にした。
幸い、我々はインターネットの環境さえ確保できれば、オフィスに集まらなくてはならない理由はそう多くはない。

深夜。
息子が泣いて起きた。「妹が居なくなった」と泣いて起きた。津波の映像がフラッシュバックしたのかも知れない。もちろん隣で娘は寝ているわけだけど。
この重たい空気をどう振り払えばいいのか。
明日からはあまりテレビをつけないようにしよう。

■15日
MSN産経ニュース:「放射線10時間後に東京へ」仏大使館がパニック回避呼び掛け 
MSN産経ニュース:【放射能漏れ】福島第1原発事故、海外で「スリーマイル島原発の同等以上」との見方広がる
日本国内は、情報発信側はパニック回避のため、また国民側も安心したいために安心材料に偏ってしまいがち。国外からの目線をキャッチすることは大事。

■16日
NASA:Japan quake may have shortened Earth days, moved axis
NASAによると、今回の地震の影響で地軸が17cm短くなり、1日が1.8マイクロ秒短くなったという。想像を超える規模の地震だったことは間違いなさそうだ。
MSN産経ニュース:【放射能漏れ】仏、日本脱出用に臨時便を指示 安定ヨウ素剤1万個も
YOMIURI ONLINE:第一原発事故はレベル6または7...米機関が見解 
病院で働いていて保護者会の役員でもある奥さんは妊婦だ。
幼子も2人居る。
それでも僕は彼女に疎開を説得できずに居る。
関東圏が安全なのはわかっている。
でも原発現場は予断を許さず、今後の展開は専門家でもわからない状態が続く。
「わからないという現実」が「横浜に留まるという判断」について「将来悔いる可能性」を持ち上げる。
そして無力な僕に彼女の社会性を断つこともできない。


17日
家族で大阪にある実家へ移動した。
万が一の交通パニックが起きてからでは妊婦の移動は危険と判断したためだ。
連休明けまで様子を見て放射能被害の拡大がなければ横浜へ戻る。


18日
自分から情報を能動的に入手するか、公共性の高いソース(政府、テレビ、新聞など)からパッケージとして受け身で入手するか、によって生まれる認識の埋めがたい断絶を思い知らされる毎日だ。
米国人弁護士が疑問に思う在日外国人の地震パニック
原発関連情報について、外国からの情報を、日本国内の機関から日本人に向けて発信する情報より重視してきたのは違っていたかも知れない・・・。


19日
アンパンマンのマーチは神風特攻隊のことを唄っている
2歳の娘を膝に乗せてアンパンマンの唄を一緒にうたった。
YouTubeでアンパンマンはたくさん観られる。
これによって我が家はどれだけ助けられているか。
僕はすっかりアンパンマンのファンになった。

今週、子供らの無邪気な笑い顔をいっぱい撮影できた。
これまでで一番長く一緒に居られた一週間だった。


20日
「パンドラの箱」を開くと、中から「絶望」や「恐れ」「憎悪」「嫉妬」など、おびただしい感情の渦が飛び出した。
でも最後にひとつ箱の中に残ったものがあった。
それが「希望」という。
なぜ、最後に残った感情が「希望」だったのか。
これから僕は、それを知ることになると確信している。


■21日
横浜へ僕だけ帰宅。
地震以後、音楽をまったく聴いてなかったことに気づいた。まずこんなとこからペースを取り戻していくとしよう。
明日からのために、心の準備体操。


■22日
通常業務を開始。


受け入れることからしか、始められないこともある。
「想定外」という思考停止な言い訳はもういい。
少なくとも今の僕には過去をさかのぼっている余裕はない。
これから、にしか興味ない。
不確実な領域で、新しく生まれる秩序を想定することに集中しよう。
ニーバーの祈り:変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。変えることのできないものについては、それを受け入れるだけの冷静さを与えたまえ。